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 このコーナーでは、一般紙や地方紙のサイトからポルノ・売買春問題や性暴力・性差別にまつわる事件・情報を転載します。ただし、容疑者および被害者の実名や住所の一部は、著名人・公的人物やポルノ業者などを除いて、伏せています。
 
■<犯罪被害者>夫に家族を殺されるが給付金支給されず
[毎日](2004年3月27日)
 1年8カ月前のせい惨な光景に突然、襲われる。横浜市都筑区で02年7月、家族3人が刺殺された事件で唯一、生き残ったUさん(40)は今も「フラッシュバック」に悩み続ける。とても定職に就ける状態ではない。頼みの綱と思っていた犯罪被害者給付金は、離婚直前だったF被告(38)=殺人罪などで死刑求刑=とまだ形式上は夫婦だったため、支給されなかった。F被告に対する横浜地裁判決は30日。癒やされぬ思いのまま、Uさんは一つの区切りを迎える。【安高晋】
 離婚を決意させたのは家庭内暴力(DV)だった。事件は被告の暴力に耐えかねて、離婚手続きを弁護士に頼んだ2週間後、身を隠していた両親宅で起きた。離婚を迫られた被告は02年7月31日未明、Uさんを殺そうと窓から押し入り、目の前で父(当時71歳)と母(同63歳)、前夫との間にもうけた長男の中学1年、Y君(同12歳)を次々とナイフで刺した。
 電車に乗っている昼下がり。夜、布団に入り目を閉じた瞬間……。事件がよみがえる。「自分のせいで家族が殺された」。自責の念は消えず、今も1日3回の精神安定剤と睡眠薬が欠かせない。
 被告からの補償は一切ない。事件後、手元に残ったのはY君の学資保険と弟からの援助金だけ。だが仏壇の購入や引っ越し費用に消えた。月2万円の薬代も重くのしかかる。同年代の親子連れに会うのがつらく、パートは辞めた。
 給付金制度を知り、神奈川県警を訪ねたのは昨年2月。親身に対応してくれたが「支給は難しい」。犯罪被害者給付金支給法は親族間の犯罪を給付対象にしていなかった。「あとは相手が離婚届に判を押すだけだった」のに。「事件ごとの事情を考慮できるように法を変えてほしい」。Uさんは願う。
 「ママが証人尋問に立つからね。応援してね」。昨年1月の公判前日、Y君の携帯電話へメールを送った。今も解約していない携帯へのメールが心の支えだ。公判後には「うまく言えてた?」と天に向かって問いかけた。これまでに送った約30通はすべて携帯電話に保存してある。
 ■解説■ 犯罪被害給付金制度は通り魔などで死亡や重い障害を負いながら損害賠償などを受けられない被害者・遺族に国が給付金を支給する。ただ(1)被害者と加害者に親族関係がある(2)被害者が犯罪を誘発(3)社会通念上適切でない――場合は支給されない。
 「例えば夫が妻を殺した場合、加害者である夫に給付金が支給されることになる」。警察庁犯罪被害者対策室は(1)の理由を説明する。だが、異論は少なくない。日弁連は00年、「社会通念上適切でない」という項目があればよく、親族関係で制限する必要はない――との意見書を公表した。
 00年に警察庁の犯罪被害者対策の検討会で委員を務めた同志社女子大の奥村正雄教授(刑事法)も都筑区の事件を「気の毒なケース。親族かどうかより、実態がどうかを議論する余地はある」と語る。
 制度は三菱重工ビル爆破事件(74年)が引き金となり、81年創設された。地下鉄サリン事件で被害者支援の動きがさらに広がり、01年には額の引き上げ(現在320万〜1849万円)なども実現している。【安高晋】