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 このコーナーでは、一般紙や地方紙のサイトからポルノ・売買春問題や性暴力・性差別にまつわる事件・情報を転載します。ただし、容疑者および被害者の実名や住所の一部は、著名人・公的人物やポルノ業者などを除いて、伏せています。
 
■ポルノ誌『ハスラー』創刊30周年:ラリー・フリント氏に聞く(下)
[WIRED](2004年2月24日)
 WN:米司法省は最近、ポルノ反対論者のブルース・テイラー氏を特別顧問に任命しました――ポルノ問題担当長官のようなものですね。テイラー氏は1980年代と1990年代初期にポルノとの闘いを展開し、ラリー・フリント対オハイオ州の裁判であなたと対決しました。これから報復してくると思いますか?
 フリント:ブルース・テイラー氏のことはよく知っている。テイラー氏は30年前、(オハイオ州)クリーブランドで私を罪に問おうとしたが、このときは私が勝った。いい男だし、法律家としても、検察官としても腕がいい。しかし、最も重要な問題を把握できていないように思う。
 米最高裁判所は1973年に、個々のコミュニティーがそれぞれ、猥褻性の基準を定めるべきだという判決を下した。つまり事件が審理される際は必ず、その特定の地域の基準にもとづくことになる。検察官は、猥褻罪での訴追はこうありたいという、さまざまなストーリーを勝手に思い描いているかもしれないが、12人の陪審員の合意が得られなければ有罪判決もありえない。これが、司法省が今後直面することになる事態だ。エクストリーム・アソシエイツ社のようなところが作っている常識離れした作品では、有罪になる場合もあるかもしれない。しかし、主流のポルノでは難しいだろう。
 WN:オンラインでもオフラインでも、匿名でいられる権利が重要だと思われる理由は? プライバシーはポルノとどんな関係があるのでしょうか?
 フリント:憲法修正第1条で言論の自由が言及されているのとは違って、プライバシーは憲法の中で明確に記述されているわけではない。しかしプライバシーの権利は、わが国200年の歴史の中で立法者たちも司法関係者も、常に考慮しなければならないことだった。しかし、現在われわれはプライバシーの権利をどんどん手放そうとしている。とはいえ、匿名性を維持したいという人はいまも多いし、立法者の中にもそう考えている人たちがいる。
 WN:米国における市民的自由と個人の権利の現状については、どうお考えですか?
 フリント:ベンジャミン・フランクリンはかつて、安全と引き換えに自由を手放すような人間は、どちらを享受する資格もないと言った。ブッシュ大統領とアシュクロフト司法長官も、ベンジャミン・フランクリンを手本にすれば多くを学べるだろうと思う。わが国の立法者たちがあんなもの(米国パトリオット法)に、実際に賛成票を投じたとはまったく信じられない。われわれは根本的に市民的自由をすべて手放してしまったのだ。
 多くの米国人は「私はアラブ人ではないから、パトリオット法は関係ない」と思っているが、パトリオット法には人種差別の壁などない。当局は実際、パトリオット法の一部を利用して、ラスベガスのストリップクラブのオーナーを逮捕した。この法律はすでに施行されている。したがって現在、盗聴するのに裁判所の許可は必要ない。逮捕した人間に弁護士をつけてやる必要もない。図書館から借り出した本が問題になることもありうるし、弁護士と依頼人との会話も監視できる。アシュクロフト長官は米連邦議会に出向いて、「この法案を通過させないのなら、流血を覚悟しておいてもらおう」と立法者たちを実質的に脅迫して通過させたのだ。
 パトリオット法で1つ良い点は、期限付きという条項が入っていることだ――2004年末には失効することになっている[日本語版編集部注:ほとんどの通信傍受・諜報規定は4年で無効となる。正しくは2004年末ではなく2005年末]。今この法律の期限を延長しようとしても、支持は得られないと思う。
 WN:米国で市民的自由が変化しつつあるこの状況は、アダルト業界にどんな影響を与えるのでしょうか?
 フリント:人には、欲しいものを買う権利がある。印刷するために印刷機を買うことは現実的には無理かもしれないが、買う権利はある。この個人の権利が、修正第1条と関連して語られることはあまりない。しかし、この国でわれわれが本当に手にしているのは、市民的自由と個人の権利なのだ。
 私がパトリオット法に関してこんなにも腹を立てているのは、この点だ。われわれはテロリストといっしょくたに、泥の中に投げ込まれてしまったのだ。われわれは、自らをテロリストのレベルまで引き下げてしまった。米国は世界の自由の指針だ。狂気に駆られた連中と戦うために、われわれが自由をすべて捨てる必要はまったくない。
 WN:度を過ぎた一部の同業者の行動について説明を求められることに、うんざりしませんか?
 フリント:いや、彼らはやりたいようにやればいいし、私も自分のしたいようにする。彼らに手本を示そうとは思う。ただ、私自身は刑務所に入った経験もあるが、そういう経験をしていない業者もいると思う。だから、実際に体験させてみればいい。そうすれば姿勢を変えるかもしれない。
 WN:世界に、先人として遺してゆきたいことは何ですか?
 フリント:闘って、言論の自由の限界を拡張したこと。そして、この問題で自分が決して揺るがなかったこと。この分野で自分が果たした貢献を誇りに思っている。
 WN:では今後は?
 フリント:まだまだやるべきことはたくさんあるよ。(笑)
[日本語版:近藤尚子/湯田賢司]