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アンドレア・ドウォーキン

『女たちの生と死』

(フリープレス社、1997年)

 Andrea Dworkin, Life and Death, Unapologetic Writings on the Continuing War Against Women, Free Press, 1997. (寺沢みずほ訳『女たちの生と死』、青土社、1998年)
     ―――――――――――――――――――――――
 本書は、これまでのアンドレア・ドウォーキンのすべての著作と同じく、ある人々には憎悪と嫌悪をかきたて、別の人々には勇気と闘争心を与える著作である。
 この著作において特徴的なのは、彼女自身の生涯について赤裸々に語られていることであろう。9歳の時に大人から受けた性的虐待、結婚前の売春の経験、政治運動をやって逮捕されたときに拘置所で医者から受けた性的虐待、最初の結婚で夫によって受けた執拗かつ血まみれの暴力…。彼女は1972年に、フェミニストの手を借りて、ようやくにしてこのバタラー(虐待者)から逃れた。
 「自分が知ったすべてのことを女性解放のために使うと心に誓ったのは、1972年のアムステルダムでのことであるが、この誓いを私は今日まで守り続けている」(邦訳、40頁)。
 彼女は、自分を助けてくれたフェミニストといっしょに本を書く。それが彼女の最初の作品、『ウーマン・ヘイティング』(未邦訳)である。その後、彼女は、周知のように、『インターコース』『ポルノグラフィ』『右派の女』など、社会に衝撃を与え激しい論争を巻きおこした著作を次々と発表し、バタード・ウーマンから戦闘的フェミニストへと成長するのである。
 本書は、この数年間にドウォーキンが書いた論文や行なった演説を集めたものであり、前著『戦場からの手紙』(未邦訳)の続編である。その中には、O・J・シンプソン事件を論じたもの、ポルノや売春を論じたもの、イスラエルやホロースト記念館を論じたもの(ドウォーキンはユダヤ人)が含まれている。彼女のどの論文、どの演説にも、相手をねじ伏せるような力強さ、敵の内臓をつかんで引きずり出すような分析力、そして何よりも真実の誠実さがあふれている。それは、かのマルコムXを彷彿とさせるし、彼女自身もマルコムXを引き合いに出している。
 「マルコムXは『必要ならばいかなる手段によってでも(by any means necessary)』闘うという表現を頻繁に用いていたが、女たち、あらゆる女たちも、この根本方針を学ぶべきだろう」(邦訳、96頁)。
 この彼女の決意は本物であり、それこそが、他のフェミニストにはない迫力を彼女の文章に与えている。次のような彼女の言葉もまた、真剣そのものである。
 「私たちは、男たちにどんなに恨まれ、どんな復讐をされかねないにしろ、とにかく男から公的権力を奪わなければならない。そのために武力を使う必要があるのなら、武器で闘わなければならない。いずれにせよ、私たちは彼ら男たちを武装解除しなければならない。男が女を傷つけたがっているときには、2人の間に割って入って女を守るような人間にならなければならない」(邦訳、191頁)。
 そんな彼女が語る売春論は、まさにセックスワーク派の議論と正反対である。彼女によれば買売春とは、「本質として虐待的であり」(邦訳、231頁)、「金の支払いによって中断される輪姦」(邦訳、232頁)である。また彼女は、買売春における男性の加害性について次のように語る。
 「あらゆる男が買春で女の体を使用するわけではないとしても、この社会のすべての男が、女が売春しているという事実から利益をこうむっている」(邦訳、242頁)。
 ドウォーキンは、売春から逃げ出し避難してきた女性を支援する運動を精力的に行ないながら、同時に、売春そのものを根絶するために闘うべきことを主張する。売春女性の権利擁護を振りかざしつつ、買売春を擁護する一部のセックスワーク派とは、根本的に姿勢が違うのである。
                        (by MRT)